「データセンター読本」書評・要約

「データセンターって何?」

そう思うと同時に、すでに手の中にこの本がありました。

 

この言葉を見たときに浮かんだイメージとしてはこんなものでした。

 

 

なんとなくプログラミング関係のことが書かれているのかなと思ってました。

 

しかし読んでみると全く異なる内容が書かれており驚いたのと同時に、今まで知らなかったことが知れたのでとてもよかったと感じています。

 

このデータセンターというものがなければIT社会というものは成り立つことができないということがしっかりわかるものとなっております。

 

 

 

 

 

「データセンター」とは

 

データセンターの定義としてインターネット用のサーバーやデータ通信、固定・携帯・IP電話などの装置を設置・運用することに特化した建物の総称と定められています。

 

こんなかんじー


データセンターがどういうものなのかがわかったところで、なぜデータセンターが必要になるのかを説明していきます。

 

データ量と言うものは10年前と比べ何倍にも増えており、それを皆さんも実感することができるかできると思います。データ量が爆発的に増えることにより、大量のデータを処理するためにコンピュータの処理性能も高めていく必要があります。

 

しかしこのデータ量の増え方と言うものは、ハードウェアの成長性能の伸びよりもはるかに上回っています。そのため、増え続けるデータを処理するためには、コンピューターの台数も増え続ける必要があるのです。

またコンピュータの台数が増え続けなければならない理由はデータの増加だけではありません。コンピューター上での処理自体が複雑になっていることもその理由です。

 

このようにコンピューターが増えると

 

・発熱の問題

 

・重量の問題

 

が発生します。

 

一般のオフィスでは、空調装置で冷やせる熱量ではなく、ラックと言う専用の棚が重いので、床が抜ける恐れがあります。

 

また災害によりコンピューターが停止してしまうと言う事態は何といっても避けなければなりません。そのため災害が起きやすいところ(活断層や海、川が近いところなど)を避けて建てることが多いです。

 

また万が一停止した時でも、すぐに別の場所でシステムを再稼働できるようにしておく必要があり、このようなことが可能な場所を探さなければなりません。このような問題を解決する設備がデータセンサーなのです。またこの必要性というのは年々増加していることがわかります。

 

データセンターの特徴として、通信回線、構造、電気設備、消火設備があります

 

このことから、様々な構成要素をコンピューターの安全運転に注力していく設計された施設といえます

 

次に可用性と言う言葉を紹介します。

 

これはデータセンターを稼働できる割合を示して示します。理想は24時間365日いつでもデータセンターが使える状態であることであり、その場合の可用性は100%となります。

 

しかし可用性が100%になる事は現実的に不可能と言われています。なのでデータセンターを使用する場合は100%の可用性はあり得ないと言うことを理解した上で、業務被害を最小限に食い止める対策が必要となります。



またデータセンターを構築する際に大切なことは、データセンターの寿命をしっかり考えることです。データセンターの主要設備の寿命は大体15〜20年と言われています。つまり寿命がたつと大規模修繕が必要となるのです。

 

修繕費など多大な費用がかかるのは、多くの電源、空調設備を備えるデータセンターならではの悩みです。したがって、計画の際は、データセンターの修繕計画等のライフサイクルを理解することが大切です。

 



データセンターの構造

 

データセンターの構造を語る観点として大きく4つに分けることができます。

 

それは1.建物、2.電気設備、3.空調設備、4.ICT設備です。

 

データセンターは耐荷重が一般ビルに比べて圧倒的に優れていることです。一般のオフィスビルであれば、通常使っている床とコンクリート面の高さは大体5〜10センチです。しかしデータセンターだとその距離が60〜80センチあります。

 

またデータセンターは1階分の高さが通常のオフィスよりも高く、一般的なビルの1階の高さが3m位に対し、データセンターでは5mもあります。

 

そして火災にも充分な対策がされており、燃えにくい素材を駆使し、火事が起きることを食い止める工夫をしています。また、火事が起きてしまったとき、コンピューターが置いてあるので水を使うことができません。そこで、ガスを使い酸素をなくして消化するという方法を用いているのです。



データセンターのセキュリティ対策

 

何人も入れさせねぇえええ!!

これがデータセンターのセキュリティ対策の核となっています。

 

万が一侵入されたら、簡単には出られないようにするのです。

 

しかし、侵入してくるより侵入されないようにするほうが大事です。そのために、データセンターの場所はとてもわかりにくくなっています。

 

そしてもちろん一定のアクセス権限のある人以外は入室を認めていません。所在地の情報も限られた人にしか伝えられません。建物自体にデータセンターと看板を出すこともありませんし、ネット上に住所を掲載することもないのです。

 

また入り口などもとても制限されており、窓ガラスが少ないのも特徴です。セキュリティーと聞いてまず思い浮かぶのはセキュリティーカードによる認証でしょう。

カードキーのイラスト

 

データセンターにも当然あります。部外者が訪問する場合には、名前などを登録し、ゲスト用のセキュリティーカードを貸し出します。また携帯電話、PC等の持ち込みは厳しく制限されていることが多いです。

スマートフォン禁止のマークパソコン禁止のマーク

 

一旦データセンター内に入ると、いたるところにセキュリティーカードをかざして入室することになります。これにより今誰がどこにいるかを特定することができるのです。また、各場所には様々な生体認証を用いないと入室することができなくなっています。



 

 

データセンターの今後

 

従来型のデータセンターのままで今後のICTの進歩に対応していくことは難しいと結論付けることができます。

そして今後もデータセンターが使われ続けていくためには、解決すべき課題が少なくとも3つあります。

 

それは

 

1.冷却:高集積化や高密度化が進むことで、電力消費量、すなわち発熱量が増大するコンピュータをどうやって冷却するのか。

 

2.省電力環境保護のためにデータセンター、全体で使用する電力量どうやって教えるから

 

3.小型データセンターの建設:一極集中型の巨大データセンターと組み合わせることで、リスクを分散化し、データの高速処理などの対応を柔軟に行う小型データセンターをどのように建設するのか



です。

 

ここで本書では、新しい冷却方法として、サーバーごと特殊な液体に浸して冷却を行うということが挙げられてます。 

 

しかし今後は堅牢なデータセンターばかりではなくなるのではないかと述べられています。その理由として、今までの堅牢度が高いものでないといけないということがなくなってきたからです。また今までは大きなものが多かったが、コンテナ型のものも増えていくのではないかと予測されています。そのことにより私たちのもっと身近にデータセンターというものが増えていくかもしれません。

 

「データセンター読本」まとめ

 

データセンターを知らない人や知ってはいるけどどのような構造をしていて社会にどのような影響を与えているのかは知らないという人におすすめの本となっております。

 

ところどころ専門的な用語を使っていますがその前にちゃんと解説が入っているのでかなりわかりやすく読むことができます。

 

多くの人におすすめできる内容になっていると感じました。